12月4・5日に札幌文化芸術劇場hitaruで開催の第633回定期演奏会のソリスト『ゲルハルト・オピッツ』よりメッセージをおおくりいたします。
『北海道の音楽ファンのみなさまへ』
札幌を再び訪れ素晴らしいオーケストラである札響と共演できること、また1990年代に数々の共演の思い出のある広上氏と再会できることをうれしく思っています。国外から日本に入国できることがほとんどできない、特にアーティストの入国がほぼ認められていない状況のなか、日本政府が私に査証を発行してくださり、こうして滞在することができることに感謝しています。
今年3月以来私は、音楽を生でお届けする演奏機会を得たい、そして何百年にもわたって培ってきた音楽文化が再び活性化するために尽くしたいと、願い続けてきました。だからこそ、私は入国後2週間の隔離期間を設けることも含め必要な条件をすべて受け入れました。予定していた日本での15公演のうち最初の3公演をキャンセルせざるをえませんでしたが、残りの日程は実現できるよう準備し、10日ほど前からようやく様々な場所で演奏活動を行うことができるようになりました。
今週演奏するブラームスのピアノ協奏曲第1番は、音楽史に残る記念碑的作品で、音楽の魅力を知る全ての人の心に届くものです。祈りのような第2楽章、劇的なコントラストとロマンティックな叙情性にあふれた第1、第3楽章など、まさに珠玉の作品だと思っています。思い返せば札響とは1987年の初共演からずっとモーツァルトやベートーヴェンの作品を演奏してきました。今回、ブラームスの演奏が聴いてくださる方の心に響くものであるますようにと願っています。私は、このピアノ協奏曲第1番をこれまで50年以上にわたり、200回ほど演奏してきました。いまなお、すばらしい音楽的インスピレーションをもたらしてくれる傑作を、今回札幌では初めて演奏できることを私自身もとても楽しみにしています。
ゲルハルト・オピッツ